2025-05-31

プロシージャルテクスチャについて/AffinityPhoto




AffinityPhotoのフィルター「プロシージャルテクスチャ」がちょっと複雑なので、このページで解説します。

プロシージャルテクスチャの使い方


プロシージャルテクスチャでは、数式を使ってテクスチャを作ることができます。

「フィルター」-「カラー」-「プロシージャルテクスチャ」
または、ライブフィルターから「プロシージャルテクスチャ」を作成して下さい。

こんな感じのパネルが出てくると思うので、真ん中らへんの左にある「+」マークをクリックしてください。





すると、数式欄が出てきます。
ここに好きな数式を入れて、テクスチャを作っていきます。




0がその色を「使わない」、1がその色を「使う」 です。
右側にあるRGBAはそれぞれ、赤、緑、青、透明度 を意味します。
クリックした項目に、数式を反映させる感じです。

例えばRGBにチェックを入れた状態で、数式に

0を入れる:その色を「使わない」=RGB全部ない=真っ暗(黒)になる
1を入れる:その色を「使う」=RGB全部ある=その色が最も明るく、白になる




RGBは光を重ね合わせて色を作るので、RGB全部が1になると白色になります。
数式に1と0を入れて、R,G,B,A各ひとつだけクリックしたとき、それぞれ下記のようになります。


数式に1を入れた場合

数式に0を入れた場合

1を入れた場合はその色が反映されるだけなのでわかりやすいですが、0を入れた場合はRGBの引き算が発生するのでちょっとわかりにくいです。


難しいので、頭の片隅にだけ置いておいて、必要となるときまで忘れてOKです。
色合いまで変える数式を自分で作ろうとしたときに必要となるので一応ご紹介。


プロシージャルテクスチャを使うと何がいいの?


プロシージャルテクスチャで作成すると、画像ファイルを使わないためデータサイズが小さくできます。また、拡大しても画質が劣化しない、バラメーターを変えるだけで色や模様、大きさを簡単に調整できる、という利点があります。



サンプル作成


半分で色を分ける


真っ白な背景だとうまくできないことがあるので、何色でもいいから色を塗ったレイヤー上で「プロシージャルテクスチャ」を作成してください。

数式に「step(0.5, x/w)」と入力。RGBにチェック。

Wは画像の横幅を、Hは縦幅を表します。
xは横座標を、yは縦座標を表します。
stepという数式は、ある値が指定した指定したしきい値を超えたかどうかで、0か1のどちらかを返す関数です。

step(a, b) の場合、
b ≥ a なら「1」を返す(ON、白)
b < a なら「0」を返す(OFF、黒)

step(0.5, x/w)は、横幅が0.5を超えたら白くする、という意味です。
0.5の数値を変えれば、好きな位置で白黒分けられます。



せっかくなので、「カスタム入力」で制御できるようにしてみましょう。
0.5 と入力していたところの代わりに「a」を入力します。


step(a, x/w)


そして、「カスタム入力」の下にある「0,1」をクリック。
下にあるボタンは、それぞれのパラメーターを持った変数を作ることができます。




上の画面のようにできたら、バーを左右に動かしてみて下さい。
白黒のラインが左右に移動できると思います。

こんな風にして、数式と変数を使っていろいろなテクスチャを作成することができます。

カスタム入力の種類


下にある0,1などのボタンで作れる変数の種類です。

0,1

0から1までの小数値を入力可能。0(最小)~1(最大)で調整するものに使う。

-1,1

-1から1までの小数値を入力可能。中心を0として左右(または上下)対称に変化する効果や、周期関数(sin/cos)などに使う。

R(実数)

制限のない実数値(整数・小数)を入力できる。

Z(整数値)

小数点の無い、整数のみ入力できる。繰り返しの回数とかに使う。

角度

角度を入力するときに使う。回転や傾き、方向指定など。

仰角回転(立面回転の入力)

日本語訳に困ってるみたいで、いろんな媒体でいろんな名前が使われていますが、英語名は「Elevation-Rotation Input」みたいです。
模様や効果の“立体的な向き”を指定できるらしいですが、よくわからん…。

R(赤):画像のX方向の位置に応じて値が変わる
G(緑):画像のY方向の位置に応じて値が変わる
B(青):画像中心からの距離に応じて値が変わる(非線形、cos関数的な変化)

数式にaと入力し、カスタム入力にaを指定してぐりぐり動かすと、どんな感じか確認できると思います。



変数名に.rや.gとつけることで、X方向やY方向などを個別に抜き出して使用することもできます。
変数Aの場合。
A.r ハンドルのX位置。左右(0~1)
A.g ハンドルのY位置。上下(0~1)
A.b ハンドルの中心からの距離(1~0)

正直、使いどころよくわかりません(´・ω・`)
何かわかったらまた追記します。

次で説明する「プリセット」の「シンプルバンナップ照明」とか使うと、雰囲気が掴めるかと思います。

プリセット


作ったテクスチャはプリセットに保存して、使いまわすことができます。
既にいくつかプリセットに登録されているので、サンプルとして使ってみて下さい。




プリセットだけでも結構いろんなテクスチャがあって面白いと思います。





そのほかの使える関数や数式などは、Affinityのホームページに記載があります。
Affinity/プロシージャルテクスチャ


少しでも参考になれば!(=・ω・=)


2025-05-24

フィルターについて⑤/AffinityPhoto ゆがみ系フィルター


フィルターについて①/AffinityPhoto
フィルターについて②/AffinityPhoto
フィルターについて③/AffinityPhoto
フィルターについて④/AffinityPhoto
の続き



ライブフィルターで使えないゆがみ系フィルター


上のメニュー「フィルター」-「ゆがみ」からしか選べないフィルターがあるので、まとめて紹介しておきます。

変形


動かしたい、または固定したい場所にピンを差し、そのピンを動かすことで自由に変形することができます。




使い方


①動かしたくない、固定したい場所をクリックします。
②動かしたい場所をクリックします
③そのままドラッグして、好きな位置まで移動して引っ張ります。




マスター


変形量を指定します。右に行くほど大きく変形します。


線形制約


「剛体」は、ピンの周囲だけを変形して他の場所はできるだけその形を維持しようとしますが、「類似」は全体をいい感じに変形してくれます。

左が剛体。右が類似。
四隅にピンを打って、中心に寄せたとき。



頭と首にピンを打って、胸元を下に伸ばしたとき




意外と類似のほうが制御しやすいかもしれません。
できるだけ元の形を残したまま変形したいときは、剛体で。思いっきり変形させたいときは類似で変形させてみて下さい。

ドラッグで複数のピンを同時に選択し、移動することもできます。

レンズ補正


カメラで撮影すると、レンズが球体の為、どうしても撮影画像に歪みが生じてしまいます。
それを直すことができます。
フィルターを使うのではなく、一番最初に「現像ペルソナ」を使ってやった方がいい処理です。



カメラ


使用しているカメラを選びます。新しいカメラが出るとAffinity社のほうで追加してくれますが、全部をカバーできるわけではないので、自分の使っているカメラがなかったら似たようなカメラで我慢しましょう。

ちなみに、「現像ペルソナ」でやるときは写真に保存されたEXIFデータから自動でカメラを選択してくれます。
対応するカメラがない時も、「現像ペルソナ」なら対応するプリセットを公式ページからDLして、追加することができます。

レンズ


使っているレンズを選びます。
これも全部を網羅しているわけではないので、なかったら似たレンズを選択。

焦点距離


撮影時の焦点距離を入力します。

レンズ補正フィルターを使うのではなく、「現像ペルソナ」を使った方が細かく調整できるので、できるだけ「現像ペルソナ」を使って最初にやりましょう。
後で簡易的にちょっといじりたいなーという時に使うフィルターです。

直交座標を極座標に


水平の画像を円上に変形します。



左のような水平ボーダーの画像を、右のような同心円状の画像にできます。



パノラマ画像を加工したり、背景を作ったりするときに便利です。

また、ビルの画像を上下反転してから「直交座標を極座標に」にしてあげると、よく見る感じの画像にできます。




極座標を直交座標に


「直交座標を極座標に」の逆です。円上になった画像を水平の画像にすることができます。

ピクセレート


モザイク化します。
「量子化」を右にすればするほど、ドットが大きくなります。



マスクと組み合わせて、一部分だけにモザイクをかけることができます。

シアー


縦軸と横軸のグラフを使って、画像を変形します。
実際に触ってみると使い方が分かると思います。



「ウィンドウ」-「チャンネル」でチャンネルパネルを表示し、合成緑チャンネルでちょっと左に、合成青チャンネルでちょっと右にシアーをかけると、グリッジっぽい効果も出せます。





細かくギザギザにシアーでゆがませた方がキレイかな?
いろいろ試してみて下さい。

ミラー





鏡に映したような効果をつけます。

ミラー数


鏡の数を指定します。右に行くほど鏡が増え、万華鏡のようになります。



入力


画像をどの向きで置くか決めます。
鏡を増やしたときに、入力をクルクル回すと、どこの画像を中心にミラー画像を作るか指定できます。

出力


ミラーをかけ終わった画像を、どの向きで表示するか決めます。

スクロール(アフィン)


画像を指定した倍率にして、並べたり伸ばしたりできます。



回転


画像をどの角度で置くか決めます

スケールX


画像の横幅をどの倍率で置くか指定します。100%でデフォルトの大きさ。1000%まで指定することができます。



スケールY


画像の縦幅をどの倍率で置くか指定します。Xと同じ。

オフセットX・オフセットY


横に、または縦にどれだけずらして表示するか指定します。




拡張モード


ゼロ


増やさずそのまま表示します



フル


空白の部分を白で塗りつぶします



繰り返し


空白の部分を端のセルの色で塗りつぶします



回り込み


基準画像を繰り返します



ミラー


鏡に映したように繰り返します



数式


数式を入力して、好きな歪みフィルター効果を作ることができます。



例えば、X= のところに「x*a」(XかけるA)と入力し、下のパラメータAの数値を小さくしていくと、横にぐいーっと伸ばすことができます。

A,B,Cは下のグラフで自由に設定できるパラーメーター変数です。
左が0で右が1です。(一番左は0.1ぐらいかも)


y= のところに「y/a」(Y割るA)とすると、縦幅を小さくすることができます。



座標系


カルテシアン(直交座標…おそらく翻訳モレ?)
横幅のxと、縦幅のyをいじれるようになります。

極座標


半径のrと角度のtをいじれるようになります。円形のフィルターを作りたいときはこっち。



X=に
x+sin(y*(a*10))*b*50
Y=に
y+cos(x*a*10)*b*50

と入れると、うねうねした効果が作れます。
定数の10と50の部分は、画像の大きさによって、ちょうどいい値を入れて下さい。



X=に
x+sin(y*0.1*b)*a*100



t=に
t*2-r*a*0.1




自分で好きな数式を入れて、いろいろと試してみて下さい。


フィルターについて⑥に続く

2025-05-21

フィルターについて④/AffinityPhoto ゆがみ


フィルターについて①/AffinityPhoto
フィルターについて②/AffinityPhoto
フィルターについて③/AffinityPhoto
の続き



ゆがみ


左上にあるペルソナ選択ツールの「ゆがみペルソナ」をクリックしたときと同じような画面が出てきます。





左側のツールについて


ゆがみハンドツール


普通の移動ツールです。

ゆがみズームツール


普通のズームツールです。
クリックで拡大、Altクリックで縮小、右ドラッグで拡大、左ドラッグで縮小。

前に押し出しツール




なぞった方向にゆがませることができます。
メインで使う機能。

右側のパネルの中に「ブラシパネル」があるので、クリックすると、ブラシのサイズなどを変更することができます。



サイズ


ブラシの大きさを決めます。
ALT+CTRLを押しながらマウスドラッグ左右でも、サイズを変えることができます。

硬さ


ブラシの固さ(エッジのシャープさ)を決めることができます。
硬さを下げると、ふんわりと変更をかけることができます。
ALT+CTRLを押しながらマウスドラッグ上下でも、硬さを変えることができます。

不透明度


ブラシの適用度を決めることができます。
不透明度を下げると、効果を薄く掛けることができます。

速度


なぞってから変形が確定されるまでの速さを指定します。
100%にした方が使いやすいと思います。

思いっきり変更させたいときは硬さ0で不透明度100に。
自然にふんわり変形させたいときは硬さと不透明度を10とか少なめにして調整するとやりやすいです。

硬さ50、不透明度50にしてちょっと動かしてみてから、微調整するとやりやすいと思います。

左に押し出しツール


なぞった進行方向の左側へ、ゆがませることができます。
下から上へなぞったなら、左側へ膨らみます。
上から下へなぞったなら、右側へ膨らみます。
ALTキーを押しながらなぞると、逆に右に押し出すことができます。

使いどころがわかりにくいので、前に押し出しツールだけ使えればいいと思います。



渦巻ツール


渦巻のような回転する歪みを作ります。
通常で右回りに、ALTを押しながらクリックすると、左回りになります。



ピンチツール


クリックしたところを大きくするようなゆがみをつけられます。
目を大きくしたいときなどにオススメ。
ALTを押すと逆に小さく……パンチツールのような効果が付けられます。


パンチツール


クリックしたところを小さくするようなゆがみをつけられます。
ピンチツールの逆。鼻を小さくしたいときなどにオススメ。
ALTを押すと逆向きになるので、ピンチツールのような効果が付けられます。



乱流ツール


ランダムにぐちゃぐちゃにしたような効果をつけられます。



メッシュコピーツール


他で作ったゆがみをALTクリックでコピーし、適用することができます。
同じような変形をしたいときに。



再構築ツール


設定したゆがみをリセットすることができます。
変形が変になってしまったら、これで一回元の状態に戻してから、やり直しましょう。
不透明度を薄くすることで、少しずつ元に戻すこともできます。



フリーズツール


変形したくないところをなぞって、マスクをかけることができます。
細かい調整をするときに便利。

赤くなぞったところは、変形しません。



フリーズ解除ツール


フリーズツールでつけたマスクを解除することができます。

メッシュパネル




メッシュを表示


メッシュを表示することができます。チェックを入れておいた方が作業しやすいと思います。

区分


メッシュの粗さを調整できます。
左に行くほど細かく、右に行くほど荒くなります。

カラー/不透明度


メッシュの色と不透明度を指定できます。
自分の見やすい色と濃さに設定してください。

メッシュの再構築


既につけた効果の強弱を指定します。
やりすぎちゃったなぁってときは左に、もうちょっとかけたいというときは右にスライダーを移動すると、微調整することができます。




メッシュを保存・メッシュを読み込み


作成したメッシュを保存したり、読み込んだりできます。

メッシュのリセット


作成したメッシュをすべてリセットすることができます。

ちなみに、上のツールバーにも同じ機能アイコンが置いてあります。



最後のメッシュ

変形画面から抜けたときのメッシュを記憶しているっぽいです。
「最後のメッシュ」をクリックすると、ひとつ前の変更を再現してくれます。


ゆがみペルソナの時は動くのですが、フィルターの時は動くときと動かないときがあるので、ちょっと条件がよくわかりません。

マスクパネル


マスクを全体にかけたり、消去したり、反転したりできます。
微調整は、フリーズツール・フリーズ解除ツールで。





ゆがみペルソナで変形すると、一度つけた変形を元に戻すことができませんが、
ライブフィルターなら何度も付け直すことができるから便利ですね。