
文字パネルについて①
文字パネルについて②
文字パネルについて③の続き。
文字パネルの「タイポグラフィ」についてと、「タイポグラフィパネル」について、一緒に解説していきます。
文字パネルの下の方にある「タイポグラフィ」と、「ウィンドウ」-「テキスト」-「タイポグラフィ」で表示できる、タイポグラフィパネルの使い方について同時に解説していきます。
この2つはお互いにリンクしています。
文字パネルのタイポグラフィを、細かく設定できるようにしたのが「タイポグラフィパネル」といった感じ。
OpenTypeフォントに登録されている、様々な字形を使うことができます。
(TrueTypeフォントでも登録されていれば、使うことができます)
標準合字/合字
クリックしてオンにすると、書体に設定されている「標準合字(スタンダード・リガチャ/liga)」が適用されます。
fとiなどが隣り合っていると読みにくいので、読みやすくするために文字をくっつけちゃおう、という設定です。
フォントは「Times New Roman」を使用。
スペル設定を「英語(米国)」にして、後は全部「自動」にしてます。
クリックしてオンにすると、「ffi」の部分がくっついたフォントになります。
正直、日本ではあまり馴染みがないですが、海外で使われてるらしいです。
たまーにおしゃれな店の看板で見かけますね。「iの点、無くね?」と不思議に思ってました。
タイポグラフィパネルでは、標準合字のほかに、「随意合字」も選べます。
随意合字(dlig)とは、フォントデザイナーがデザイン目的で追加した、必須ではない合字です。
読みやすさを求めたのではなく、カッコよさを求めた合字。
タイトル系に使うとかっこよさそうです。
フォントは「Roboto」を使用。
コンテキスト代替(文脈依存置換)/代替
手書き風や筆記体フォントを使っている時に、文字が自然につながるよう調整してくれます。
例では「Segoe Script」を使用。「e」のところが自然につながっています。
「w」も、次につながる線が消えてスッキリ終わってます。
タイポグラフィパネルでは「代替」メニューにあります。
その他にも、代替メニューには違う字形や、スラッシュ付きの0など、
正式な文字とは別に用意された文字が表示されます。
序数
1st,2md,3rd,4thなどの、順序や順位を表す、数字につける文字「序数」を、上付き文字にして見た目を整えてくれます。
例では「Adobe Caslon Pro」を使用。
タイポグラフィパネルではちょっとわかりにくいですが、「数字の位置」メニューの一番下に「序数」があります。
分数
分数表記にしてくれます。
タイポグラフィパネルでは「数字の位置」メニューの中にあります。
分数のチェックだけでなく、「分子」や「分母」など、細かく指定もできます。
上付き文字
下付き文字
上付き文字、下付き文字にしてくれます。
タイポグラフィパネルでは「数字の位置」に、あります。
オールキャップス
小文字も、すべて大文字で表示してくれます。
スモールキャップス
小文字を、小さな大文字で表示します。(smcp)
大文字部分も一緒に小さくしたいときは、オールキャップスも一緒に押します。
タイポグラフィパネルでは「大文字」のところにあります。
大文字間隔
「大文字間隔」にチェックを入れると、大文字が並んでいた時に間をちょっと空けてくれます。
大文字が並ぶと間が詰まりやすいので、大文字が並んでいる時はチェックを入れておくといいです。
大文字小文字を区別する字形
「大文字小文字を区別する字形」にチェックを入れると、カッコの位置が上がります。
英語版だと「Case-Sensitive Forms」というらしいです。
正直、直訳したままの名前だと何の機能だかさっぱり分からない……_(:3」∠)_
大文字で書かれたテキストに対して、句読点や記号の位置を文字の高さに調整してくれる機能です。
ちょっと下に下がって見えるかっこ類を上へあげてくれるので、めちゃめちゃ便利です。
一言でいうなら「記号位置最適化」かなぁ?
カッコつき数字とか、カッコが下がって見えやすいので、チェックを入れておくといいです。
タイトル用字形
「タイトル用字形」にチェックを入れると、タイトルにちょうどいい字形にしてくれます。
サンプルは「Adobe Garamond Pro」を使用。……ちょっと文字が細くなっただけであまり変わりませんでした。
タイトル用の大文字は、通常の大文字よりエレガントに見える用、ちょっと細く作られてるらしいです。
異体字
字の違う字形を表示します。
フォントは「Source Code Pro」を使用。
日本語の異体字はこの機能ではなく、タイポグラフィパネルの「すべての代替文字」で探す感じです。
スタイルセット
登録されているデザインのセットを割り当てることができます。(ss01〜)
複数個チェックできるので、好きなスタイルを選んでください。
もちろん、一文字一文字選んで指定できるので、最初と最後のgの形を違う風にする、なんてことも可能です。
スワッシュ字形
装飾的に伸ばしたり、曲線的な要素を追加した文字装飾スタイルにします。(swsh)
見本は「Bellota Text」を使用。
スタイルによって字形が大幅に変わるので、タイポグラフィパネルで見ながら、組み合わせて設定してあげると楽だと思います。
タイポグラフィパネルを表示
タイポグラフィパネルを表示します。
文字を選択したとき、上側に表示されるコンテキストツールバーの「fi」のボタンを押しても、タイポグラフィパネルが表示されます。
ちなみに、左の方にある「a」のボタンを押すと、文字パネルが表示されます。
その他のタイポグラフィパネルの項目
フォントによって、指定できる項目が変わります。
とりあえず自分が見つけた項目だけでも解説。
関連のない機能を非表示にする
チェックを入れると、フォントに設定されていない項目が非表示になるので、見やすくなります。
けど、たまに使いたい機能まで非表示になることがあるので、チェックを入れない方が個人的におすすめです(=・ω・=)
すべての代替文字
フォントに用意されているすべての代替字形を一覧表示します。
異体字項目で設定できない場合、こちらで設定できることが多いです。
上付き文字とかも一緒に表示できるので、こちらで探したほうが楽かも。
数字のスタイル
数字のスタイルを指定します。
デフォルトが、標準の数字。
ライニングは、すべての高さとベースラインが揃った数字(大体これがデフォルト)
オールドスタイルは、上下に高さの差があり、小文字となじむ数字です。
見本は「Roboto」フォントを使用。
オールドスタイルのフォントをノンブル(ページ番号)に使ったら、お客さんから「ページ番号の位置がズレている!」と言われた、なんてこともあるので、うまくスタイルを使い分けてみてください。
位置代替
単語内のどの位置にあるかによって変わる文字を制御します。
アラビア語だと、いくつかの文字は単独、先頭、中間、末尾のどの位置にあるかによって字の形が変わるらしいです……すごい。
将来的に縦書き対応した場合、縦書き括弧がここで制御できるようになるんじゃないかなーと思って、一応記載しておきます。
注釈用字形
文中に注釈や脚注をつけるときの文字や数字を設定できます。
フォントは「BIZ UDゴシック」を使用。
数字の幅
数字の幅を制御します。
プロポーショナルは、数字の形に応じた幅に。
表形式は、すべて同じ幅に統一します。
使用フォントは「Crimson Pro」です。
表や、縦に並べたときなど、表形式にした方が数字がキレイに揃って見やすくなります。
飾り文字
飾り文字にします。
特定の文字を飾り文字にできるのも有れば、文字コードを入力しないと出てこない奴もあるので、「ウィンドウ」-「テキスト」-「グリフブラウザ」を表示して、ダブルクリックして入力したほうが早いと思います。
フォントは「Minion Pro」を使用。
その他にもいろいろありますが、とりあえず見つけたものだけ。
もっと詳しく知りたい方はOpentypeフォントについて検索してみて下さい。
おまけ プロポーショナルメトリクスは使えないの?
イラレでは「OpenTypeパネル」に「プロポーショナルメトリクス」というチェック欄があり、これを入れることで、メトリクスがかかった状態で、文字詰めを変えることができます。
が、Affinityでは現状、対応していません。
将来的に日本語ユーザーが増えれば対応するかもしれないけれど。皆さん周りに布教をry
そんな我々を救うべく、スタジオスズメさんという方がAffinity用のフォントを公開してくれています。なんと縦書きフォントまで!!神か!!!!
使い方は、フォントをインストール後、Affinityを再起動し、タイポグラフィパネルの「スタイルセット」-「プロポーショナルメトリクス」にチェックを入れるだけです。
「約物アキ調整」なども使えるので、DLしておいて損はないと思います。
日本語組版はいろいろとめんどいですが、OpenTypeフィーチャーがうまく使えるようになったらかなりユーザー増えると思うので……
Affinityさん、ぜひとも日本語組版への着手、よろしくお願いいたします(=・ω・=)✨