2025-07-19

オーバープリントについて① ~よくあるトラブル~



   印刷物を作る際に知っておいたほうがいい「オーバープリント」について解説します。


印刷の前提


印刷物は「C シアン 藍色」「M マゼンタ 紅色」「Y イエロー 黄色」「K キープレート 墨」の4色を塗り重ねて、様々な色を表現しています。



黄色と青の絵の具を混ぜると緑色になりますよね?

全色のインクを用意していたらとてもじゃないけど採算が合わないので、4色のインクを見えないレベルの細かい網点でかけあわせることによって、多彩な色を表現します。



印刷データをイラレなどで作成した後、印刷機が印刷できるようにCMYKそれぞれの版用の網点データを作成します。
(この変換処理を「RIP(Raster Image Processor/リップ)」と呼びます)


網点で説明するとめんどいので、以降の説明はベタ塗りで説明します。
ベタ塗りだけど本当は細かい網点で塗られているんだなぁと想像してください。


オーバープリントってなに?


オーバープリント(Overprint)とは、印刷時に「ある色の上に別の色を重ねて印刷する」設定や処理のことです。
日本語では「ノセ」とも呼ばれます。
(色を重ねずに下の色を抜いて印刷する方法は「抜き合わせ(ヌキ、ノックアウト)」と呼ばれます)


オーバープリントの主な用途


小さな黒文字や細い線などは、印刷時のわずかなズレ(見当ズレ)で紙の地色が見えてしまうことがあります。
オーバープリントを設定することで、下の色が抜かれずに重なるため、ズレが目立ちにくくなります。

【例】青色背景に黒文字を乗せるデザインの時

オーバープリントを設定すると、通常のRIP処理で作られる版(左)とは異なり、下の青色が抜かれずにそのまま重なって印刷されるため、印刷時に版ズレが起きても白抜き部分が現れず、ズレが目立ちにくくなります



最近の印刷所では、K100%の物は自動でオーバープリントがかかる設定になっているところが多いです。


オーバープリントのよくあるトラブル


1.黒(K100%)が透けて下のオブジェクトが見える


自動でオーバープリントがかかったことにより、下のオブジェクトが透けて、仕上がりが変になってしまうことがあります。
よくあるのが、色文字に黒フチをつけた時に、黒フチが透ける事故です。



(分かりやすくするため、ちょっと黒の色を薄くしてます)

アピアランスでつけるフチ文字は、デフォルトでは文字の境界線を中心として線を太くしていくので、文字の上にかかる部分とかからない部分がちょうど半々になります。
塗りがある部分の色が濃くなってしまう為、見栄えの悪いフチ文字になります。

また、イラストで髪の毛が透けてしまう事故も多いです。



プライバシー保護の為 目線を入れても、オーバープリントがかかっていると透けてしまいます。



割と笑えないタイプのミスです。


2.白オブジェクトの消失


白いオブジェクトにオーバープリントをかけると印刷時に消えてしまいます。

ホワイトオーバープリント」と呼ばれ、印刷業界では定番の事故です。それくらいよく起こる。
(自分も一回、やらかす寸前まで行きました。他の人が触ったデータを扱うときは要注意です)






一応Illustratorの設定に「ホワイトオーバープリントを破棄する」という設定があるのですが、それをすり抜けて発生します。



(なんならこのチェックが外されてたりもする。わざとか?わざとなのか??)


オーバープリント設定した黒を、白に置き換えるときに発生しやすいようです。
白には絶対にオーバープリントを設定しないよう注意が必要です。


3.意図しない混色


オーバープリントを指定したせいで、重なった部分が想定外の色になることがあります。

よくあるのが、文字色を設定した上にアピアランスで色を指定して、混色してしまう事故です。



必ず分版プレビューで確認するとともに、アピアランスで色を付けるときは「文字の塗りをなしにしてから、アピアランスを付ける」ようにしましょう。

あまり無いですが、文字色黒、アピアランス白 でオーバープリント設定がされていて、印刷時に白文字が黒になる、という、普通では考えられない事故が起きたりします。
(うちの上司が文字色の上にアピアランスを重ねる&オーバープリント設定をつけたがる ので、結構発生します💀)

乗算などの透明効果を使ったときも、似たようなことが起こります。


4.K100オブジェクトを使った透明効果で意図せぬ色に


K100で作ったオブジェクトをスクリーンなどの透明効果で乗せると、自動オーバープリントにより消えたり、色が変わってしまう場合があります。



よくあるのは、途中で塗りが反転する文字を作るときでしょうか。

比較(明)でK100の文字を乗せて作ったら、印刷時に下のようになってしまったりします。
(印刷所によっては透明効果を使っている場所は自動オーバープリントしません、と明言してくれているところもあります)



このような事故を防ぐためにどうしたらいいか、を次で紹介します(=・ω・=)


オーバープリントについて② ~オーバープリントの設定&解除の仕方~ に続く