古いファイルを編集したいのに文字組更新パネル、全然動かないんだけど? って時の対処法です。
事の経緯
「文字組が勝手に変わってしまうなら、新しいイラレに更新することはできない!」
という上司をやっとこさ説得して、Illustrator2025をインストールすることができました。長かった……。
が、新たな問題が発生。
「変更点が表示されるっていうから2025にしたのに、変更点が表示されないじゃないか!!」
Illustrator 2023(27.6)以前のファイルは、「Illustrator 2023(27.7)〜2024」で保存しなおせば変更点が表示されるはずですよ~と案内したものの、文字組更新パネルが動かず……。
どうやら、単純に保存し直すだけではダメで、一度テキストをアクティブにして「テキストレイアウト情報」を更新し、保存し直さなければいけないようです。
ファイルを開くとき、こちらが表示されているとダメです。
自動で最新の文字組へと変更されてしまいます。
こちらが表示されるようにしたい。
テキストボックスを選択するだけではダメ。
テキストツールでクリックするorテキストボックスをダブルクリックするなどして、編集用カーソルが表示されるぐらい触らないと、「テキストレイアウト情報」というのは更新されないようです。
「Illustrator 2023(27.7)〜2024」で作成されたデータは大丈夫なのですが、Illustrator 2023(27.6)以前のファイルは、別名保存するだけでは「テキストレイアウト情報」は保存されません。
そんな全テキストをダブルクリックしてから保存なんて、面倒くさいことやってらんないー! という方のために、Adobe公式さんがプラグインを公開していました。
が、プラグインの入れ方がまったく説明されてなかったので、そこも含めて解説したいと思います。
※Windowsの方法のみ、解説します。
対処法
Illustrator2024に「文字組み保存プラグイン」を入れ、別名保存。
そうして作成したファイルを、Illustrator2025で開き、「文字組更新パネル」で差分確認する。
※プラグインを入れるのはIllustrator2025ではなく、Illustrator2024です!
(上司は2025に入れて、文字組更新パネルが動かない!と騒いでた)
1.Illustrator2024をインストールする
2024がすでに入っている人は大丈夫です。
2025入れるときに前バージョン削除しちゃった!という方だけ、次の作業を行ってください。
今後2026などの新バージョンが出ても、2024は消さずに残しておく必要があります。
(それが嫌な方は、旧ファイルをすべて、これから説明する方法で保存し直してください)
1.CreativeCloudDesktopを開く
2.「アプリ」-Illusratorの左下にある「…」-「他のバージョン」をクリック
3.「バージョン」-下のほうにスクロールして、28.●の横にある「インストール」をクリックする
Ver.28の最新版をインストールしてください。
あとは普通にインストールすればOKです。
Illustrator2024のインストールが終わったら、次はプラグインをインストールします。
作業前に、Illustratorを開いていたら閉じて下さい。
2.「文字組み保存プラグイン」をインストールする
Adobeの公式ブログから、プラグインをダウンロードします。
1.以下のページを開く
2.一番下にある「プラグインのダウンロードはこちら」をクリックして、プラグインをダウンロードする。
プラグインの説明などいろいろ書いてあるので、できるだけ記事の内容も読んでください。
3.ダウンロードした「Illustrator_SaveTextLayout.zip」を展開する
お手持ちのファイル解凍ソフトで解凍してください。
※zipの中にzipが入っている二重zipファイルなので、会社によってはセキュリティなどで開けないかもしれません。
7-Zipなどのファイル解凍ソフトを使うと展開できると思います。
4.フォルダの中にある「SaveTextLayout_1008A_Win.zip」を解凍する
解凍したフォルダの中にある「SaveTextLayout_1008A_Win.zip」を解凍してください。
中に入っている「Readme_SaveTextLayout_v1.0.pdf」にプラグインの使い方が書いてあります。
5.「SaveTextLayout_1008A_Win」フォルダの中にある「win32」「x64」どちらかのフォルダを開く。
win32…32ビット版Windows用
x64…64ビット版Windows用
大体のパソコンはx64だと思うので、x64フォルダを開いてください。
バージョン情報の「デバイスの仕様」-「システムの種類」が
「64ビット オペレーティング システム」
「x64-based PC」
と表示されていればx64です。
「32ビット オペレーティング システム」
「x86-based PC」
ならwin32です。
中に「SaveTextLayout.aip」というプラグインが入っています。
6.C:\Program Files\Adobe\Adobe Illustrator 2024\Plug-ins フォルダを開く。
Cドライブにインストールしている場合、「Program Files」→「Adobe」→「Adobe Illustrator 2024」→「Plug-ins」と順番にフォルダを開いていって下さい。
※2025ではなく2024フォルダを開いてください。
7.「Plug-ins」フォルダに、「SaveTextLayout.aip」ファイルをドラッグ&ドロップする
「このフォルダーへ移動するには管理者の権限が必要です」と表示されたら、「続行」をクリックしてください。
これでプラグインのインストールは完了です。
3.「文字組み保存プラグイン」の使い方
1.プラグインをインストールしたIllusrator2024を開く。
何度も繰り返しますが、2025ではなく、2024にプラグインをインストールして、開いてください。
2025と間違えやすいので注意。
2.「編集」-「環境設定」ー「ファイル管理」をクリック
プラグイン使用時に「バックグラウンドで保存」が働くと良くないっぽいので、「バックグラウンドで保存」を解除します。
3.「バックグラウンドで保存」のチェックを外す
「バックグラウンドで保存」「バックグラウンドで書き出し」にチェックが入っていると、Illusratorが落ちやすいので、できれば両方ともチェックを外したままにするのがオススメです。
過去には合成フォントを使っていると、PDFファイルが壊れるバグがありました。
いよいよ、プラグインを使って保存し直しましょう。
4.テキストレイアウト情報を更新したい、古いファイルを開く
Illustrator 2023(27.6)以前で作成したファイルは「テキストレイアウト情報」を持っていないので、この作業が必要になります。
※Illustratorバージョン10以前で作成したファイルは、Illustrator2024で一度保存し直してから、スクリプトを起動させてください。CSより前なのでさすがに居ないとは思うけど…。
5.「ファイル」-「文字位置情報を保存」-「別名で保存」をクリックする。
プラグインがインストールされていれば、ファイルメニューに「文字位置情報を保存」メニューが入っています。
もし入っていなかったらプラグインのインストールが失敗しているので、もう一度見直して、どこか間違っていないか確認してください。
6.「OK」を押して、コーヒーでも飲みながら一服する
プラグインで全部のテキストをアクティブにしていくので、結構時間がかかります。
下手に触るとフリーズするので、手を離してお茶でも飲んでゆっくり待ちましょう。
7.「別名で保存が終了しました」と出たら「OK」をクリックして完了する
同じフォルダに「ファイル名[CP_更新済みAi28.●].ai」というファイルが作成されます。
4.Illusrator2025で「文字組変更パネル」を確認する
1.Illusrator2025で、先ほど作成したファイルを開く
ようやっと2025の出番です。Illusrator2025で先ほど作成したファイルを開いてください。
2.テキスト変更確認のダイヤログが出るので「変更を確認」をクリックする。
ここで「更新」を押すと、今までの作業は何だったんだ……となってしまうので、忘れず「変更を確認」をクリックしましょう。
ちなみに、以下のダイヤログが出てきた場合は失敗です。
もう一度プラグインを使って保存し直してあげましょう。
3.「文字組更新パネル」で変更点を確認する
文字組更新パネルが表示されてないときは、「ウィンドウ」-「書式」-「文字組更新」をクリックしてください。
文字組更新パネルの使い方は、Adobe公式ブログで解説されています。
5.ファイル保存をまとめて一気にやりたい!
一個一個開いてプラグイン使って保存なんかしてらんない!って時はフォルダ事にまとめて処理できます。
フォントの不足があるとエラーになってしまうので、必要なフォントはすべてインストールしてから作業してください。
フォントの不足がある状態で2024にプラグインを入れて、ファイルを開くと、そのファイルを開こうとすると予期せぬエラーが出て、プラグインを消しても二度と開けなくなるという現象が発生しました。
その場合、2025で開くか、足りないフォントをすべて入れてあげれば開くようになります。
1.Illusrator2024を開き、「ファイル」-「文字位置情報を保存」-「一括更新」をクリックする。
サブフォルダまで一気にやりたいときは「一括更新(サブフォルダを含む)」をクリックしてください。
まとめてやりすぎるとものすごく時間がかかるので、ある程度分割しながらやることをお勧めします。
2.フォルダーの選択画面が開くので、一気に変換したいファイルが入っているフォルダを指定する
3.確認画面が出るので、実行して大丈夫なら「OK」を押す。
4.進捗状況のゲージがいっぱいになるまで、ゆったりとお茶をする。
ものすごく時間がかかるので、トイレに行ったりお茶をしたり、ゆっくりしてください。
画面がチカチカと切り替わったりしますが、以下のダイヤログが出てくるまで触らないでください。
5.指定したフォルダに、新しいファイルが作成されていることを確認する。
同じフォルダに「ファイル名[CP_更新済みAi28.●].ai」というファイルが作成されます。
「SaveTextLayout.log」は処理のログファイルです。
テキストアプリとかで開いて中を見ることができます。エラーが出たときとかに見るといいかも。
捨てちゃってOKです。
Illustrator 2023(27.7)〜2024で0から作成したファイルはこの処理をやる必要がありませんが、一部を修正しただけのファイルは、修正外のテキストが「テキストレイアウト情報」を持っていないので、2025で開いたときに勝手に置き換わってしまいます。
なので、2025以前に作ったファイルはすべて、一度このプラグインで保存し直してから修正していくと安全だと思います。
2025が出てからほぼ1年経つので「今更この記事書く必要あるかな…?」とは思ったのですが、CS6が未だ生き残っている業界なので(=・ω・=)
CS6卒業された方々の少しでも助けになれれば!✨
追記
illustrator2025で深刻なバグが発生し、「いっこ前のバージョン(2024)を使うのがいい」という流れになってますね……もうすぐAdobeMAXで2024インストールできなくなるから、と焦ったのに……!!まだ早かったーー!!!失敗したー!(´・ω・`)
追記2
illustrator2025を使っていると、たまーに「1個のテキストオブジェクトが更新されました」と下にメッセージだけが出て、最初に確認画面が出ない&文字組更新パネルも動かない、という状況になるときがあります。
テキストが一切ないファイルでも、「1個のテキストオブジェクトが更新されました」とメッセージが出てきてしまいます。
そんなときは、illustrator2025を一回閉じて、軽くお茶でもしてからもう一度開き直してみて下さい。
アプリを閉じて、立ち上げ直すだけでメッセージが出なくなります。